「約束しよう」 私は小指を差し出した。 シュテルははにかんで小指を絡ませる。 小さいころから何度もしてきた指切り。破ってもハリセンボン飲んだことなんてなかったけど。 今回だけは例外だ。 「破ったら許さないよ。ハリセンボンだからね」 そう言えばシュテルが満面の笑みで笑った。 湖のギシギシと氷が音を立た。ああ、湖の氷が割れる。 アイスベルクに春が訪れる。