「ねぇ、『好きだったよ』ってどういう意味?」
シュテルに問われて、私は恥ずかしくて答えられずにいた。
「過去形なのはなんで? もう好きじゃない?」
あまりに悲しそうな声色に、慌てて顔を上げる。
見たこともない不安そうな顔。
「そうじゃない! でも、もう二度と会えないと思ったから。本当のことを知ったら、嫌われると思った。……ゴメン。嘘ついててゴメン」
うなだれる頬に、シュテルがそっと手を添え、顔を上げさせられる。
「僕こそ嘘つかせてゴメンね。好きだよ、ベルン。君が君だったらそれでいいんだ」
シュテルの言葉が沁み込んでくる。ユルユルと心の中に固まった何かが解けていく。



