「ベルン」
シュテルに名前を呼ばれて、ドキンと胸が跳ねた。
「その格好も、似合ってる」
シュテルが顔を赤らめて照れたように笑った。
唐突な言葉に驚いて、私まで顔が熱くなる。
「あ、ありがとう……」
俯いて爪先を見た。どうしていいのか分からない。
シュテルもそれっきり何も言わないから、窺うように上目遣いで見てみれば、シュテルの唇が目に入って、慌てて目を伏せた。
無理やり、キスしちゃったんだよね……。
緊急だったとはいえ、なんてことをしてしまったんだろう。
これで会うのは最後だと思ったから出来たことだけど、こんなふうに顔を合わせることになってしまって、とても気まずい。



