ふとウォルフを見れば、柔らかな目で私を見ていた。行ってこいと語る瞳だ。 「ベルン様、嫌になったらいつでも帰ってきてください。あなたの帰る場所はここだ」 「……うん」 「ご武運を」 何時でもそう。ウォルフはそうやって私の背中を押してくれる。大丈夫だって言ってくれて、失敗して逃げ帰ったとしても、受け入れてくれるのだ。 「ありがとう、ウォルフ」 ウォルフは目礼をして、馬に跨る。そして振り返らずに駆けていった。