私はため息を吐き出した。そんな選択を聞く意味が分からない。そもそも私は王都に居場所がないのだから。
「シュテル、私は王都には戻れないんだよ。知ってるだろ?」
「この春、女騎士が正式に認められることが昨日可決された」
「……え?」
「君がその第一号になる」
「嘘」
「だから、君を迎えに来た。無論、女騎士にはまだ反対意見もある。アイスベルクを疑っている人もいる。辛い思いもすると思う。ここみたいに穏やかに生きられないかもしれない。だけど、僕と一緒に来て。士官学校へ帰ろう。一緒に卒業しよう」
胸に熱いものがこみ上げてくる。
一緒に卒業、諦めていた夢が叶うかもしれない。女騎士になって、みんなと一緒に騎士になる夢が叶うかもしれない。
でも、望んで良いのだろうか。また分不相応な夢を見て、周りを傷つけるんじゃないだろうか。



