「まあ!」
「ぼ、ば、ボク、一応、ひ、は、こ、婚約者、こ、こ、候補、なので」
マレーネ姫が絡むと挙動不審は治らないらしい。
「マレーネ姫がベルンちゃんの様子を知りたがるからここへ来たい」
「……そうなの」
リーリエお姉様は優しく微笑んだ。
私はそのことを知って、胸が詰まった。あんな形で裏切ったのに、こんなふうに心配してくれている。
「それに、みなさん疑心暗鬼ですよ。ボクが今のアイスベルクへ私的に通うことが、どういうことなのか、図りかねているようで」
ザントは、ククと悪い顔で喉をならした。
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