意外だったのが魔道士ザントだ。あんなことがあれば手のひらを返されるかと思っていたのだが、正々堂々と郵便で、魔道士の肩書付きで私当てに手紙を送ってきた。まぁ、内容は『マレーネたん なかすな』から始まっていたけれど。
 リリトゥについて詳しく知りたかったようなので、お姉様を紹介したら、休みの度にアイスベルクに来るようになった。

 今日もお姉様と私と三人でお茶をしている。

「リリトゥの研究はいかがでしょう?」
「リーリエ嬢のおかげで見通しが付いてきました。いともたやすく、わが国に侵入したのは、やはり男性にだけ効く魅了の魔力だったのでしょう。あの鳥も検分したのは騎士でした。ただの珍しい鳥ということでした」
「やはり、女騎士が必要ですね」
「アハハ」

 ザントが白々しく笑う。