ウォルフと訓練をして、領地の様子を見て回る。
 多分、卒業したらこうなるだろう、そう思っていた日常は穏やかだ。
 少し寂しくもあるけれど、早まっただけ、それだけなのだ。いつかはこうなると分かっていた。
 あれから大分日もたち、だんだん騎馬隊たちも落ち着きを取り戻し始めた。


 秋が過ぎ、もう冬だ。新年を迎えて新たな社交シーズンが始まった。しかし、お姉様は領地から出ないことに決めたらしい。恋人が待っているのに申し訳なかった。

 今年の新年の剣舞はクラウトが務めたそうだ。
 クラウトは秘密裏に手紙を送ってくれる。名前のない手紙には、いつもマロウの花びらが入っている。内容は誰に読まれても困らない他愛もないものだ。しかし、おかげで王都の様子が分かった。