机の上の手鏡を覗く。髪をおろした自分を映して、なんだか寂しくなった。最後まで見せられなかった本当の姿。

 シュテルから貰ったあの日の手鏡は寮に残してきたままだ。あの日、帰ることができなかったから、想い出の品物はすべてあそこに置いてある。
 星の入った水の瓶。あの後フェルゼンから貰ったリボン。
 全部捨てられてしまっただろうか。

 自業自得とは思っても、一つくらい手元に残しておきたかったと未練がましく思った。