お父様は、私の判断は間違っていなかったと褒めてくださった。
 きっと何度あの日をやり直しても、私は同じようにするだろう。お姉様やお兄様に迷惑をかけると知っていても、王都を見捨てることなどできないから。
 でも、私のせいで鏡の離宮に橋を架けられるとしたら嫌だなと思う。

 仕方がなかったと思う。
 何時かはバレたのだきっと。それが早まっただけだ。

 ただ、初めてのキスがあんな悲しいキスになるなんて思わなかった。

 リリトゥの呪いを解く唯一の方法は、愛する者からのキスだ。リリトゥ以外の者に抱く強い思いが、呪いを解く。
 一か八かの賭けだった。
 もし本当に、シュテルが私を好きでいてくれたなら、もしかしたらと思ったのだ。
 そしてシュテルは目覚めた。

 私はそれだけで満足だ。もう会えなくてもいい。

 私は唇をそっと撫でた。