【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)


 それから僕らは、ベルン奪還作戦を始めた。
 ベルンが、偽らずにいられる場所を作るのだ。
 王国に女騎士団を創設する。

 宮廷内は混乱していた。この機に乗じて、アイスベルクの広大な土地を得ようとしている輩。アイスベルクの持つ立場を得ようとしている奴ら。虎視眈々と狙っている大言壮語の狸どもに、口を噤んだ善意の人たち。
 
 マレーネは、ベルンが護衛につかないなら、不安だから公務を控えると言い出した。今までベルンに守られてきたマレーネの言うことだ。説得力がある。実際、女騎士団を何よりと必要としているのはマレーネなのだ。なかなか無下には出来ない。
 しかも、マレーネの公務は国民に人気があるため、控えられると困るのが実情だ。反アイスベルクの連中ですら、マレーネには視察に来て欲しいのだ。
 
 クラウトの実家ヴルツェル家からも、ベルンの許しを願ってきた。マレーネの件も実際目にしていて、ヴルツェル領の中ではベルンは人気があるらしかった。その上、クラウトが熊の一件を家族に話していたから、その恩を返したいというのもあったらしい。