「……僕に、話してよかったの?」
きっとずっと二人だけで守られていく約束だったはずだ。
これを僕が知って、僕が怒り、誰かに伝えたら、ヴルカーンもアイスベルクもただでは済まない。
「お前は仲間だからな」
フェルゼンが情けない顔で笑った。
胸の奥がパチンと弾けた。
崩れ落ちたと思っていた世界がここにある。僕の足もとは守られている。ベルンとフェルゼンに、嘘に、守られていた。
僕はフェルゼンの肩を掴んだ。
「ベルンを連れ戻す。協力してくれ、フェルゼン」
なんとしてもベルンを連れ戻す。僕たちだけがのうのうと、なにも無かったことにして生きていくなんてできない。
「お前より先にそれを言えない俺は……、だから駄目なんだろうな」
フェルゼンが笑った。
もういつもの笑い方だった。



