【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)


「それなのに、男でも……なんだろ?」

 フェルゼンは僕を見て歪に笑った。泣くのを我慢してるみたいだった。
 僕はその言葉に頷く。

「俺はバカだよな。いつかバレる嘘なのに」

 力ないフェルゼンの声に、何と言ったらいいのか分からない。

「俺とお前がベルンに言ったんだ。幼年学校に一緒に行こうって。だからベルンはここへ来た。他愛もない子供の口約束で、全てを偽る覚悟で来た。俺はそれが嬉しかったんだ、そうまでしても一緒にいたいと思ってくれてるって。俺がアイツに嘘をつかせた。嘘を付かせ続けた」

 フェルゼンは腕で顔を覆った。