フェルゼンの机と並びあったベルンの勉強机。いつも羨ましいと思っていた。二段ベットの上部はベルン。まるで今にも帰ってきそうなほどそのままだ。
 ベルンは帰ってくるつもりだったのだ。
 だって、全てがそのままになっている。

 扉が乱暴に開かれた。

 顔を上げれば、怒り狂ったフェルゼンと目が合った。
 燃え滾る赤い瞳。毛羽だった短い髪。

 僕を見て、一瞬揺らぐ瞳。閉めるドアは静かだった。

「シュテルか……」