朦朧とする意識の中で、ベルンと目が合った。
 苦しそうに僕を見て、謝った。

 理由も分からずに、マントの中に隠される。
 士官学校の黒いマントが、僕らをこの世に二人っきりにする。

 秘密の暗闇。ベルンの冷たい唇が触れた。

 鳥のように啄ばむだけの優しいキス。不馴れで、不器用で、子供みたいな。そんな接吻。

 目の前がキラキラと光る。胸の中の熱いものがってくる。
 好きだ。大好きだ。
 手に入れられなくても、満たされなくても。許されなくても、それでもいい。

 それでもいいんだ。それでも好きなんだ。