ガッカリしたように言って見せれば、ベルンはホッとしたようにため息を吐き出した。
 その姿に胸が痛む。そんな風に安心されたくない。でも、怖がられるのはもっと嫌だ。同じ部屋に居られなくなる。きっと、ベルンはここから去ってしまう。
 だから、俺は嘘を重ねる。少しでも長く、隣に居られるように。恋じゃなくてもいい。友情でいい。


「なーんだ。残念だね」
「まったくだ、折角見つけたと思ったのにな」
「またイイ人見つかるよ」

 ベルンは屈託なく笑った。

 お前以上の女なんて見つかるわけないのに。

 俺はポケットに隠したリボンを握りしめた。

「……いねーよ、ばーか」

 軽く笑い飛ばして、この想いに蓋をした。