夏休み明け、ベルンが寮に戻って来た。

「フェルゼン、夏休み中に仕事してた?」

 ベルンが恐る恐る聞いてくる。

「ああ、交代頼まれて、ザント様のお屋敷に行った。なんで知ってる?」

 あくまでも俺は知らないふりだ。

「いや、噂で」
「……そう言えば、イイ女がいたぞ。めちゃめちゃ理想の女。スラリとした背丈に、綺麗な立ち姿でさ、凛としているようで笑顔が可愛い最高の女」

 ベルンが驚いて目を見張る。

「運命の人?」
「ああ、だと思ったんだが」
「だが?」
「ザント様の作った土人形だったんだよ」