スイーツのタワーを見ていれば、どこかの紳士が皿をもってやって来た。
「食べたいのでしょう?」
手渡されたので、素直にお辞儀して受けとる。食べやすいように小ぶりに作られたショコラを口に運んだ。
上質な甘味が口に広がる。マレーネ姫をもてなすために、気合いが入っているのだろう。思わず頬が緩む。
紳士と目が合う。彼は驚いたように顔を赤らめ、息を飲んだ。
「?」
「甘いものはお好きですか?」
肯定の意味で頷くと、では、と手を引かれる。
戸惑って見つめ返せば、ニッコリと笑われた。
「あちらにケーキを用意させます。立ったままだと食べにくいでしょう?」
小さい子供に言い含めるように言われ、中庭の東屋へ連れていかれる。
東屋に腰かけるように促され、素直に応じると、すぐ隣に紳士が腰かけた。



