「だ。だから、ベルンちゃん、ボクを助けて!」
「はぁ?」

 ザントは涙目だ。

「一人でマレーネたんとかむり。マレーネたんは王太子殿下と一緒にいらっしゃる。挨拶の時だけでも、ボクと一緒にいて!」
「意味が解りません」

 ザントが説明を始めた。
 ザント曰く、私を代理の女主人に仕立てたいということだ。もちろん、女主人としては紹介しないけれど、一対一でマレーネ姫に対応するのを避けたい、ということらしい。
 しかし、マレーネ姫を前にするとこれだけ不審者だということは、社交界には秘密にしているから、知っている私にフォロー役として白羽の矢が立ったということだ。

 正直大迷惑。速攻断る案件だ。