「……私も君を思い出すよ」 きっと私は思い出すだろう。同じ寂しさを抱えた人。 「ありがとうございます」 クラウトは丁寧に頭を下げてから、私に背を向けた。 結局ザントは誰にも話さなかった。 兄上に相談したら、『あれでも有能だし、気に入ったやつは裏切らないよ』と笑った。 気に入られているのか甚だ疑問だが、少なくともしばらくは心配しなくていいのかと思えばホッとした。