晩餐会の明かりを見ながら、庭で一息つく。変態と話して疲れてしまった。
 暗がりで樹木をぬけて涼しい風が通る。不安で胸が凍えそうだ。こんなときに、フェルゼンの暖かさが恋しくなる。

 ザントがバラしてしまったら、もうフェルゼンの暖かさにも甘えられない。迷惑をかけられない。フェルゼンは知らなかったことにして、私だけ裏切り者だと断罪されるべきなのだ。
 王都との交流を全て断ち切って、アイスベルクに帰る。そういうことになっている。

 寂しいな。

 ブルリと身震いした。夜の庭でのスカートは、思いのほか冷える。

「ベルン先輩?」

 聞きなれたら声に振りかえれば、クラウトがいた。騎士団の制服だ。晩餐会には参加しなかったのだろうか。