体が凍りつく。バレてしまった。バレたらこんな風に誤解される。だから、バレてはいけなかったのに。
 
 息が出来ない。苦しい。グルグルと視界が回る。

 終わったな。もう、王都には戻れない。すべてを捨てて、逃げるしかないのか。フェルゼンにはもう二度と会えない。手紙さえ送れない。

 シュテルは裏切ったと思うだろうな。

 そんなふうに誤解されるのだけは悲しかった。

「そんな悲愴な顔しないでよ。王家に仇なすつもりがなければ、ボクには関係ないし」
「そんなつもりない!」
「まあ、見てればわかるけどね。マレーネたんをあんなに大切にしてるんだから」
「……」
「ねえ、取引しよう、君は黙っていて欲しいんだろ?」
「脅しなどに屈するものかっ!」
「脅しじゃないよ、どっちかっていうとお願い?」

 私は黙ってザントを睨む。ザントはそれを見て不敵に笑った。