私は麗しいお姉様をエスコートして、デビュタントのダンスを眺めていた。
 ちなみに、今日は騎士の格好ではなく燕尾服だ。
 隣に並ぶ姉は、薄い桜色のドレスにプラチナブロンドの髪を垂らし、侯爵令嬢としてふさわしいほほ笑みを湛えている。

 もうね、美しい、それしか言えない。本当にこの人は美しい。聖女(マドンナ)だ。

 周りの男どもはポーっとして、お姉様に釘付けで、私は体のいい黒子なんである。
 そんな男どもから、お姉様を守る重大な役割も父と兄(過保護)から仰せつかっていたりするのだ。