「お姉さま、少しお待ちになって」
「お姉さまとか……いや待って、むりむり、尊み秀吉」

 グズグズと泣きながら拝み出すから頭が痛い。

「それですわ! ザント様!」

 マレーネ姫が声を上げた。
 その声に、私と変態が驚いた。

「ザント様、貴方のお言葉で、わたくし新しい世界を知りましたの! 私たちお友達になれると思うんです!」
「お、お友達?」

 ザントが不思議そうに首を傾けた。元がイケメンらしいので、変態の癖に無駄に可愛い。

「ええ、先ほどは祝福してくださったのですよね? わ、わたくしとおねえさまを……」
「そのとおりです! ボクは別に危害を与えるつもりなどなく、というか、そもそもボクが警戒対象だとも知らなかったんですけどね、いやなんでそうなった? だってボク直接マレーネたんとか無理すぎるのに何で笑えるとか思ってて」

 いきなり饒舌になるザント。怖い。