「犯人は魔道士殿だったようですね」
「あ、ええ」
あっけにとられる姫様。当然だ。
「マレーネメイド……? ラブラブ……ウエディング……」
ぼんやりとした顔で、マレーネ姫様が復唱する。意味がわからないのだろう。そんなの復唱しなくていい。
「姫様? 大丈夫ですか?」
顔を覗き込めば、ハッとしたように私をまじまじと見た。なんか、目の色がいつもと違う?
「姫?」
「ベルンさまっ! 恐ろしかった……」
マレーネ姫が抱きついてくる。それほどまでに恐ろしかったのだろう。確かに、あれは怖い。鍛え上げられた私ですら引くぐらいだ。深窓の姫ぎみなら当たり前だろう。
私はマレーネ姫の肩をポンポンと慰めるように叩いた。



