【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)


「犯人は魔道士殿だったようですね」
「あ、ええ」

 あっけにとられる姫様。当然だ。

「マレーネメイド……? ラブラブ……ウエディング……」

 ぼんやりとした顔で、マレーネ姫様が復唱する。意味がわからないのだろう。そんなの復唱しなくていい。

「姫様? 大丈夫ですか?」

 顔を覗き込めば、ハッとしたように私をまじまじと見た。なんか、目の色がいつもと違う?

「姫?」
「ベルンさまっ! 恐ろしかった……」

 マレーネ姫が抱きついてくる。それほどまでに恐ろしかったのだろう。確かに、あれは怖い。鍛え上げられた私ですら引くぐらいだ。深窓の姫ぎみなら当たり前だろう。
 私はマレーネ姫の肩をポンポンと慰めるように叩いた。