「かわいいですね」

 マレーネ姫に笑いかければ、姫はびっくりしたように瞬きした。そして顔を頬を染める。

「べ、ベルン様は子供はお好き?」
「ええ、可愛いと思います」
「わ、私もです! 私も子供大好きです!!」

 なぜか力説されてちょっと驚く。でも、そんなところが可愛らしくもあった。

「姫様を見ればその優しさが子どもにも伝わるのでしょうね」
「そ、そんなこと……」

 姫は恐縮して目をそらした。

 その瞬間。
 花吹雪がフラワーシャワーのように舞い踊る。下から土が盛り上がった。
 マレーネ姫の叫び声が響く。
 突如土の中から現れた黒い人影に、騎士たちがサーベルを構えた瞬間、それに立ちふさがるような土の壁が立ちはだかる。
 私は自分の背に庇うようにして、マレーネ姫とメイドたちを隠した。