【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)

 
 後ろから追いかけてきたフェルゼンが肩を組んできた。
 フェルゼンの手はいつでも暖かい。凍りそうになる私の心を暖めてくれる。

「ベルン、さっきは悪かった。お前にあんなこと言わせるつもりはなかった」

 フェルゼンの一言で、心が少し軽くなる。

「いや、フェルゼンには苦労かけるね」
「苦労なんかじゃねーよ。俺がお前と卒業したいんだから」
「サンキュ」
「それに、あー……なんだ」
「なに?」
「俺も似合ってる……と思う」
「は?」
「お世辞じゃないと思ったから、ムキになった。わりい」

 フェルゼンが顔を赤くしてそっぽを向いたから、ビックリする。つられてこちらまで顔が赤くなる。

 え、なに。らしくない。