【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)


「みんな、お世辞で慰めてくれなくてもいいよ。ま、冗談でも私を組伏せられるつもりなら、いつでもかかってこいや!」

 私はスカート姿で足をガニマタにドンと開き、冗談めかして挑発した。

 クラスに笑いが起こる。

「中身までは変わらねーな」
「こんな女イヤだわ」
「熊倒すベルンを? ムリだわ!無理無理」

 クラスの空気が変わってホッとする一方で、なんだか胸がチクリと痛む。
 
「じゃ、一応見せたからね、着替えてくるよ」

 私は逃げるように教室を後にした。グッと拳を握る。仕方ない。空気を考えたら、あれしか思い付かなかった。でも、なんだろう。悲しさと空しさと屈辱感が沸き上がる。ため息を吐き出した。