【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)


「私は、水分がある物に限り凍らせることができる。木や土は出来るが、魔法や生き物は無理だ」
「そうなんですか? お姉様は?」

 お兄様と二人で、お姉様を見れば、優しく頷いた。

「私も無理よ。それに魔法に魔法をかぶせるなんて、本でも読んだことはないわ」

 博学のお姉様の答えに私は驚いた。お姉様が知らないのなら、一般的ではないと分かる。
 エルフェンお兄様は少し考えるようにして、チェスの駒を進め、それから私を見た。

「ふーん……、そうか。うん。ベルンはこのまま軍に進むんだろう?」
「私は進みたいのですが、元帥閣下のご意向次第だと思います。元帥閣下は私が女だとご存知ですから。士官学校は許されても、正規の軍人として受け入れられるかは、微妙な気もします」
「ああ、そういう問題もあったね」

 お兄様はすっかり忘れていたように笑った。