翌日は、女騎馬隊の訓練を見に行くことにした。こちらにいるうちは出来るだけ様子を見たいと思っていたのだ。


 そもそもアイスベルクの騎馬隊は、専門職ではない。本職は別にあり、有事の際に希望者をつのり給金を払う、いわば傭兵に近いスタイルだ。ほとんどみんな知り合いのような、小さな領地内だからできるのだろう。
 ウォルフも本職は馬を育てることだ。彼の場合は、隊長でもあるので加えて訓練指導も仕事として請け負ってくれている。
 訓練は誰でも気ままに参加出来るようにしていた。給料は出ないけれど、軽食が無料で配られる。途中で抜けてもいいし、嫌になったら来なくてもいい、そんな緩いものだ。中には飯を食うため、運動不足の解消のため、なんて冗談を言う者もいる。
 実際、飯を食うためだけでも良いのだ。騎馬隊に入れるレベルにならなくても、ここで最低限の読み書きと社会性を身につけてもらえれば良いと思っている。
 
 同じものを女性にも与えたい。
 そう思って、女性専門の指導訓練を初めて一年。人気店の看板娘がいたり、5人の子供の母親がいたり、色々なタイプの人間が集まっている。