春休みを迎え、皆寮から自宅へ戻る。とはいっても、王都はまだ社交シーズン中だから、タウンハウスに戻る者が多い。
 私はいつも通りアイスベルク領へ帰る。そもそも、ひきこもり侯爵の父は社交シーズンであっても特別なことがない限り、カントリーハウスにいる。私も社交をする必要がなかったから、当然領地へ戻ることにした。
 兄のエルフェンバインは王国騎士団に所属しているので、普段から王都にいる。姉のリーリエも、今年の社交シーズンはタウンハウスにいるらしい。私以外のエスコート役を見つけたのだ。

 私は、長期の帰省時にやるべきことがあったから、ワクワクとして家に戻った。