「ほんとだ、これか」
「マレーネ姫が用意したんだって」
「……あのさ、バレてないんだよな?」

 女だとバレていないかフェルゼンが確認する。

「たぶん、バレてないはず。バレるようなことしてないし」

 聞いて確かめることはできないけれど。

「困ったら俺に相談しろよ? 一人で無理するな」

 でも、こんなこと相談できない。シュテルはフェルゼンの友達だし、フェルゼンだって間に入って困るだろう。

「うん」

 フェルゼンに笑い返せば、納得したかのように笑い返された。