モンスターを追って森を駆けていく。後ろからついてくるのは、アイスベルクの騎馬隊だ。オレはウォルフ。アイスベルクの騎馬隊長だ。
 ベルン様とは幼馴染で、赤ちゃんの頃から知っている。乗馬も一緒に教えたし、アイスベルク家の愛犬オブリは、オレが初めて躾けた犬でもあった。
 だから、ベルン様を様つきで呼ぶけれど、それ以上に近しい仲だと自負している。

 初めのころは、味噌っかすだと思っていた。エルフェン様を追いかけて遊んでいたころ。小さなベルン様は、明らかに足手まといで、わがままで、泣き虫で、甘えん坊で、邪魔なガキ、そう思っていた。
 だんだんと乗馬を覚え、一緒に遊べるようになって来れば、女の子なのに負けず嫌いで面白いと思うようになった。欲しいものを諦めない、そういうところが素直で可愛いと思った。

 ベルン様に特別な思いを抱いたのは、あの泉での出来事だった。みんなが諦めようとしたフェルゼン様のブーメランを、ベルン様だけが諦めなかった。
 初めて見たベルン様の魔力。すべてを凍らせて、欲しいものへの道筋を作る力。道がないなら作ってしまえ、そういう考えが、それをできる力が、キラキラと輝いた。
 結果は皆が怒られて、散々だったけれど、あの出来事は俺の中では一本の道筋になった。

 ベルン様の行く道を守りたい。選ぶ道を一緒に歩きたい。そう思った。