馬と共に育った私は、自然と乗馬を覚え、騎士を目指す兄と共に剣を覚えた。姉と一緒に花を愛で、スイーツを食べ、お洒落もした。
 男だからこうしろとか、女だからどうしろだとか、煩く言わない家柄だったのだ。使用人も、おぼっちゃま、お嬢様などと呼ぶことはなく名前で呼んでくれていた。それも大きい。
 私は私。それ以外の何者でもなかった。

 やりたいことをさせ、欲しいものは与えられた。そのあたりは、侯爵令嬢として当たり前だったのだとも思う。それとも末っ子ゆえの甘やかしだったのか。
 ともかく私はそうやって自由に育てられ、外ではパンツ姿で活動的に、家の中ではドレスを楽しむ、それが普通だと思っていたのだ。
 多分、女の育て方を単純に知らなかったのだと、今になってみれば思う。