【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)


 かわいそうだ。

 そう思った瞬間、馬が前足を高く上げた。

 蹴られる! 

 息を飲んだ瞬間、男の子は穏やかに笑った。

 え? 笑うの? 

 僕は目を奪われた。

 優しい瞳で馬を見て、何か一言呟いて首筋を撫でたようだった。
 馬はそれっきりすっかり落ち着いて、何事もなかったようにシズシズと歩き出した。
 男の子は意に介さないように堂々と歩いていく。

 まるで魔法みたいだ……。

 そして、あの馬に早く会いたくなってしまった。