【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)


「治らなかったらさ、ベルンがずっと側にいてくれるでしょ?」

 甘えるように囁く。なめらかな皮膚がくすぐったい。柔らかな髪もくすぐったい。
 胸の奥までくすぐられてる様に、変な感じがする。

「理由なんかなくったって、側にいるのに」

 可笑しくて笑えば、ベッドに引き倒された。
 驚いて見上げれば、アンバーの瞳が不穏な色に煌めいている。

 理解できない不思議な色にドキドキする。

 シュテルの指が、私の顔にかかった髪を優しくどけた。

「ベルン」

 声の色までいつもと違う。
 テントの空気が絡みつく。