「背中に傷、ゴメン」
「謝るな!」
シュテルがギュッとつかんだ腕に力を籠める。
プライドを傷つけた、きっとそうだ。またゴメンと、言いかけて口を噤む。
「ちがう、そうじゃないんだ。そう言うことじゃなくて……」
「うん?」
「……治らなければいいって、思ってる」
「え?」
ゆっくりとシュテルの顔が振り向く。肩に乗せた私の顔に近づく。頬と頬が触れて、鼻先と鼻先がぶつかった。
驚いて離れようとしても、掴まれた腕がビクともしない。
慌てて引き離そうと背中を押す。
「痛いよベルン」
笑いながらだけど、そう言われたら強くは押せない。
「だったら離してよ」
「ヤダ」
ぶつかった鼻先が、今度は意図的にすりあわされる。
バクバクと心臓がなって、息だって出来なくて、どうしていいかもわからずに、ただただ戸惑うばかりだ。
どうしてこんなこと。



