「ちょっと! 痛いよ!」
「……ベルン」
シュテルの背中が波打つ。
「なに?」
「帰ってからもこうしてくれない?」
「なにが?」
「僕の部屋で包帯を巻いて欲しい」
「もちろんだ」
何を言ってるんだ。当たり前だろう。
「シュテルの怪我が治るまで私が責任を持つよ」
さらにギュッと手を引っ張られ、顔がひしゃげるから、シュテルの肩に顔をのせた。
「シュテル?」
どうしたのだろうか? 不安なのだろうか。やっぱり背中の傷は、騎士にとって苦しい傷だ。
シュテルの背中の傷跡に飽いた手で触れる。少しでも良くなって欲しいから、氷の魔法で思いを込める。
シュテルの背中がビクリと震えた。
「冷たかった?」
「違う」
ならば。これだけは謝らせてほしい。



