【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)


「シュテル」
「うん」
「生きてた」
「殺さないでよ」

 シュテルが困ったように笑って、両手を広げる。
 私は思わずその胸に顔を埋めた。
 
 大丈夫、心臓が鳴っている。生きている。

 シュテルは私の背中をポンポンと叩く。

「じゃ、オレは席を外すか」

 ウォフルの声が響いて、テントの入り口が閉められた。

「ずっと、ベルンの魔法を感じてた、ありがとう」

 シュテルの声が胸から響いてくる。

「私のせいでゴメン」
「違うよ」

 毅然とした声に驚いて顔を上げる。
 シュテルは王子の顔で私を見た。