「シュテル」
「うん」
「生きてた」
「殺さないでよ」
シュテルが困ったように笑って、両手を広げる。
私は思わずその胸に顔を埋めた。
大丈夫、心臓が鳴っている。生きている。
シュテルは私の背中をポンポンと叩く。
「じゃ、オレは席を外すか」
ウォフルの声が響いて、テントの入り口が閉められた。
「ずっと、ベルンの魔法を感じてた、ありがとう」
シュテルの声が胸から響いてくる。
「私のせいでゴメン」
「違うよ」
毅然とした声に驚いて顔を上げる。
シュテルは王子の顔で私を見た。
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