「弱いから心配してる訳じゃない、分かるよな?」
「……うん。大切だから心配してるんだ」
「オレだってお前を心配してるぜ? 騎馬隊の連中だって。だから休めよ」
「でも、怖いんだ。私はズルいんだ。心配なのは嘘じゃない。たけどそれだけじゃない。側にいて安心したいのは私の方なんだ。皆に心配かけてるのに、休んだ方がいいのも分かってるのに、それでもこうしていしたい。私は我儘でズルいんだよ」
膝に頭を埋める。情けない。火傷して苦しんでいるのはシュテルなのに。ここにいても私には何もできなくて、休まない方が足を引っ張るのだとわかってる。
でも、私は私のためにここにいる。そうやって迷惑をかけている。
コツンとベッドから落ちてきた拳が頭に当たる
「……だったら、僕は嬉しい」
「シュテル!」
弱いけど、聞きなれた甘い声。
思わず膝たちになってベッドを覗き込んだ。
痛々しい赤らんだ顔。それなのに笑っていて。
心臓が跳ねる。跳ね上がった心臓に押されて、瞳から涙が零れる。



