「お前の隊には連絡をしておいた」
「ああ……ありがとう……」

 なんだかうまく考えられない。

「怪我をしている者もあるが、全員無事らしい。フェルゼン様の霧が効いたようだ」

 全員無事……、それを聞いてホッとする。みんな退却できたのだ。良かった。

「魔力を使いすぎてる、ベルン様も休め」

 ポン、とウォルフが私の頭を撫でた。大きくて厚みのあるしっかりした手だ。剣を握って、馬を育て、犬を躾ける、そんな手だ。温かい。

「うん、ここで休んでる」
「それは休んでることにならないぞ」
「でも離れたくないよ。ここにいれば生きてるってわかる」

 答えれば、ウォルフは大きくため息をついた。

「罪悪感なら止めろ。男のプライドが傷つく」
「でも、私が弱いからいけないんだ」
「弱くないだろう」
「弱いよ、弱いから心配かけて、弱いから守られる。私は守られるんじゃなくて、守りたいのに」

 悲しいのだ。足でまといになるのが悲しい。自分が彼らの負担になるのが嫌だ。自分だけおいていかれたくない。ついていけなくなるのは寂しくて悲しい。