本営救護所にはシュテル用のテントが用意されていて、魔法のシールドがかけられていた。すでに、癒しの力を持った女医師が待機しており、治療の準備は万端だ。救護所は、できたばかりの女騎馬隊が警護をしている。救護に携わる者は女が多いため、気心の知れている女騎兵を配置したらどうかと考えたのだ。
 シュテルをベッドにおろし、背中を見れば、真っ赤に爛れている。

「っ酷い……」

 真っ白く均整の取れた背中に、惨いほどの火傷が首筋から腰まで付いている。騎士の誇りある背中に、これほどまでの酷い傷を私が付けさせてしまった。

「ベルン様、冷やし続けてください」

 医師が冷静な声で指示をする。炎の魔法を軽減する呪文と、癒しの魔力が与えられ、火傷の薬が塗られていく。
 グルグルと包帯が巻かれたシュテルは目を覚まさない。

 私は、ベッドのへりに寄りかかって膝を抱えて座り込み、シュテルに寝息を感じながら目覚めるのを待った。