今回は大規模討伐ということで、騎士団が王都の中を行進した。
騎士団のマントのついた礼装の軍服で、自身の愛馬に跨って王都を軍行するのだ。
騎士団のマントは階級所属によって違う。士官学生は黒。騎士団に入って初めてもらうマントは白。それから階級によって色が変わる。
ちなみに元帥閣下は緋色のマントに黒い裏。内側に金色の刺繍のエンブレムがある。
白馬のシュテルが、士官学校の黒いマントを翻して頬笑むだけで卒倒する町娘。その横では、フェルゼンが、赤毛の馬に乗り白い歯を輝かせて手を振る。黄色い声と、低い声の歓声が上がる。
私たちが討伐で一緒になったのははじめてだったから、私は静かに目眩を感じた。
すごい、なにこれ。怖すぎる……。
私はそれを見ながら、鉄仮面のように前を向いた。青い扇は見えないふりをした。
しらない、見えない、私には関係ない!
隣で馬を駆る下級生が、わざとらしく呟いた。
「ちょっとくらい人気があるからって気取ってるんですか」
緑の髪、緑の瞳の彼はクラウトという一年生だ。一年生の首席らしい。秀才と名高く、シュテルを信奉していて、私が側にいることを快く思ってない。
トゲのある言い方も、実はこれがはじめてではない。彼はなにかと食って掛かってくるのだ。以前から、色々な勝負事を挑まれている。負けはしないが、コテンパンに打ち負かすわけじゃないから、舐められているのだ。