「っていうか、そもそも名前は?」 さっきから、噂のご令嬢としか聞いていないから、誰が誰やらだ。名前もわからないのに知ってるかと聞かれても、分かりっこない。 「さすが、引きこもり侯爵様のお家柄だね」 シュテルは呆れたように笑った。 「知らないならいいよ」 「教えてよ!」 「教えない」 「なんで? 今度、白百合のお茶会で会ったら話してみるよ?」 「だから、教えないの!」 シュテルはムッツリとして言った。