微温的ストレイシープ



何かを見つけたようで、涙の止まった目を大きく見開いていた。



「あなた、榛名灯里……よね?」


こくりとうなずく。

もういちどパソコンの画面に目を落としたユキノさんは、片手で口をおおった。



「……同姓同名、にしては」



「あの、何か……見つかったんですか?」


少しずつ早くなっていく心音。

時計の秒針を刻む音だけが、静かに響く。






「……ごめん。しばらく整理させて」


ぱたん、パソコンを閉じたユキノさんとは。


最後まで目が合うことはなかった。