微温的ストレイシープ



するとわたしの隣でメモを見ていた廉士さんが、ユキノさんに近づいて耳打ちをした。

ぼそりと、なにを言ったのかは聞こえなかったけど。


その直後、ユキノさんがわたしの腕にちらりと目をやったから。



あ、そういえば痣のこと書いてなかった……




「……まあ、とりあえず調べてみるから」


後ろには立たないでね、何するかわかんないわよ。

と冗談っぽく言って、ユキノさんはパソコンに向き合った。



そして、それを待っている間。



「肩んとこは?」

「へ?あ、ちょ、」


廉士さんがワンピースの上から殴られたとこを押してきた。



「ちょ、い、いたい……」


「……ユキノ。ここ包帯とかねーの」

「あるわよ。その棚の下から二番目。湿布とか消毒液もあるから好きに使って」

「わかった」



救急箱から湿布を取り出した廉士さんは、「しみるかもしんねーけど我慢してろよ」と言って手際よく手当てしてくれた。