微温的ストレイシープ



吹き飛ばされた男と、わたしの身体。



加減なんておかまいなしで突っ込んだから、強く地面に叩きつけられる。


わたしが体当たりした衝撃で、ナイフも手から離れてくれるかと思ったけれど。

どうやら現実はそんなに甘くないらしい。


殺意を持ってぎゅうぎゅうに握りしめられたナイフは、そう簡単に離れてはくれないことを身をもって知った。




「この、クソ女……!」



ナイフの柄で鎖骨あたりを思いっきり殴られた。

痛みにぎゅっと身を縮こまらせる。




刃を振り下ろされる寸前、


男のあたまの側面に廉士さんの蹴りが入り、そのままわたしの視界から消えていった。



ドンッと壁にあたる音を最後に、辺りはまた静けさを取り戻したのだった。