微温的ストレイシープ



それまで無表情だった男たちが一変して、かっと目を見開いた。

わたしのところにいた人全員が、一斉に廉士さんへと飛びかかっていく。




今のうちに逃げなきゃ。


でもわたしの足は動かなくて、ただひたすら目の前で行われている乱闘を見つめていた。




廉士さんの戦い方は見ていて危なっかしかった。


正攻法で、ひたすら正面から殴りつけていく。

刃物相手にもまるで怯んでいる様子はない。


つぎつぎと地面にひれ伏させていくその様子は、なんだか王者の貫禄さえあった。



わたしがぼーっとしているうちに廉士さんはまた1人また1人と倒してしまう。



そして最後の1人を相手にしようとしていたときだった。





「あっ!」

「はは、ぬかったな!」


わたしと、敵の声が重なった。



地面に転がっていた、気絶している敵の身体。

それに足を取られてしまって、廉士さんが一瞬だけふらついてしまったのだ。



その一瞬のスキを、相手は見逃さない。

ぐわうっとまるで牙のように振りかぶるナイフ。








「あぶないっ!」




どっ、と身体に強い衝撃を感じた。