しばらく呆然としていたけど、はっと我に返る。
広い部屋にただひとり。
なんだか落ち着かなくて、背中がむずむずした。
きょろきょろと辺りをうかがえば部屋の隅にもソファがあったから。
わたしは廉士さんのお言葉に甘えて、座って待っておくことにした。
なぜかソファの背のほうがこっち側に向けられていたけど、特に気にとめることもなく。
すっと腰を下ろしたときだった。
むぎゅっ。
「ひゃうっ!?」
おしりの下に感じた、なにか柔らかい感触。
反射的に立ち上がったわたしは、あわててソファの上に目を向けた。
そこにあったのは……いや、寝ていたのは。
「いってぇな……あぁ?誰だ、てめぇ」
かなり目つきの悪い男の人で。
むくりと身を起こしたその人から、わたしは目が離せなくなった。



