微温的ストレイシープ



「えと、シュトリっていうのは……?」

「ああ、シュトリね。そいつらも俺らと同じ、暴走族だよ」


維月さんは続ける。



「マルバスとシュトリは、先代からずっと犬猿の仲なんだ」

「犬猿の仲?」

「そうそう。あいつら何かにつけて突っかかってきてさぁ。今夜も、うちに奇襲かけようとしてんの」



この辺りでいちばん強いのがマルバスだったら、シュトリはいわゆる2番手らしく。


向こうの総長はなかなかに姑息で、事あるごとに嫌な手を使ってくるんだとか。

マルバスを上から引きずり下ろすためなら手段を問わないし、多少の犠牲も仕方がないと思ってるんだって。



その話を聞いたとき、拾われたのがマルバスでよかったと心の底から安心した。




「でね────」